春に向けての整備も本格化してきました。皆様、準備は大丈夫ですか?
バルブクリアランス調整って言葉は聞いたことある方も多いかと思いますが、ZX-10Rの作業が入ったので画像付きでupしてみます。
バルブとカムシャフトの間にはすき間が必要です。冷間時と温感時では金属の膨張があるので、それを踏まえたすき間を冷間時に測定・調整します。
このすき間が狭くなると、冷間時にバルブが閉じ切らなくなりエンジンがかかりにくい・かかってもすぐ止まる・低回転域でのパワー不良といった症状が出て、逆に広いとメカノイズが大きくなるとかバルブの開く量が減るのでパワー不良といった症状がでます。
こんな風に、シックネスゲージというものを使ってカム山とタペットホルダーのすき間を測定します。
100分の1ミリ単位の測定で、ゲージを抜く感触で確かめるので経験が必要な部分です。
測定後、カムシャフトを外してタペットホルダーを外すとシムというすき間を調整する部品が見えるので、それを外して狙ったすき間になるよう入れ替えます。
ちなみに10Rは0.25ミリ刻みでシムがあるので、より細かい調整が可能です。
これがシム。マイクロメーター使って厚さを確認。
手前がシム載せた所奥が載ってないところです。
測定したすき間が指定値より狭くてすき間を広くしたい場合はシムを薄くして、測定値が広い場合はその逆ですき間調整をします。
頭の中が煮詰まってくると、狭くしたいのに厚いシムにしてオカシイすき間になったりしてしまうのは内緒です。
測定して→カムシャフト外して→シム替えて→カムシャフト付けて→測定して…という一連の作業は結構時間かかるので、足し算引き算を間違えると結構なタイムロスになっちゃいます
シムをつけたらタペットホルダーをつけて…
(タペットとかバルブリフターとか色々呼び名があります。)
これで1バルブ分完成です。
0.15ミリ~0.24ミリなどと規定値には幅がありますが規定値の中で広めに合わせた方が良い傾向があります。
車種によって規定値は違いますが、0.05ミリ以下になっていると、上に書いたような不調が起きやすいです。
バルブが閉じ切らないと、圧縮された混合気が閉じ切っていないバルブのすき間から抜けるので十分なパワーが生みさせないことになり、不調になります。
暖まると何とか普通に動くけど冷間時はダメというのは、暖まるとバルブクリアランスは増えるからです。
バルブやカムシャフトの金属膨張によりすき間は減ると思いがちですが、それ以上にアルミでできているシリンダーヘッドの膨張率の方が大きいためです。
車種・乗り方などで変わってきますが、上に書いたような不調はバルブクリアランスが原因の場合もあります。
今回はインジェクションボディも外したので、ついでにお掃除。
インジェクションはメンテナンスフリーのイメージがありますが、メインボア内の汚れはアイドリングや低回転域の不調を起こしますので、定期的に清掃するのが良いです。
過去の事例で、アイドリング不調の車両で、メインボア内の清掃をしたら1000回転くらいだったアイドリングが4000回転近くまで上がって慌てて下げたこともある位です。
エアクリーナー側から。ちなみに走行44,000km位です。
サブスロットルバルブが赤茶色です。エンジンからの吹き返しとブローバイガスです。
エンジン側から。
わかりにくいかもしれないですが、メインスロットルバルブが閉まるところが黒い線のようになっています。
ここにカーボンが堆積すると不調になります。
清掃後。
こんなにキレイ
ちゃんとやると結構大変ですが、なかなかさわる機会もないのでこういう時にはきれいにしましょう♪
エンジン掛けるのが楽しみです♪
PR